「partⅡ」から16年後の1990年公開されたシリーズ第三作。
「part1」では知られざるマフィアの内幕と家族愛を、「partⅡ」ではファミリーの後継者となったマイケルの非常なまでの冷酷さが物語の主題となっていましたが「partⅢ」ではマイケルの贖罪意識と苦悩が描かれています。
物語は父の名を冠した「ビト・コルレオーネ財団」よってシシリー復興のための資金として多額の寄付をしたマイケルが、バチカンから叙勲される場面から始まります。
叙勲によってバチカンのギルディ大司教との関係を得たマイケルは、これを機にファミリーのビジネスを合法化することに取り組みます。
叙勲パーティーの席上ギルディ大司教からお礼を言われたマイケルは大司教に言います。
「金が必要な人の手に渡ることを祈る」
後の展開を暗示するようなセリフです。
そしてフランク・シナトラがモデルとされる歌手ジョニー・フォンテーンが「我らのゴッドファーザーに彼が愛するこの歌を」と歌い始めようとするとマイケルは席を外そうとします。ジョニーが「マイケルどこへ?」
「キッチンでトニー・ベネットのレコードを聴きに行く」
上手いジョークですね。シナトラがトニー・ベネットを評価していたのはよく知られていて「金を払って聴くならトニー・ベネットだ」と言ったことに対する楽屋落ちのようなセリフです。
パーティーにやって来たマイケルの兄ソニーと愛人の間に出来た息子ヴィンセント・マンシー二はニューヨークのボス、ジョーイ・ザザとの間に確執を抱えています。
マイケルはヴィンセントとザザの間を取り持とうとしますが、ビンセントはそれを拒絶して言います。
「陰であんたのことをクソ呼ばわりしているのに・・・。面と向かって言ってみな」
それを聞いたマイケルはザザに尋ねます。
「ジョーイ、この街にそういう奴がいたら?俺をクソと呼ぶ奴だ。そんなゲスをどうする?イヌ野郎だ」
マイケルの凄みを感じさせるシーンです。ヴィンセントはマイケルに言います。
「あんたの下で働きたい」
「タフガイなどいらんね。弁護士は必要だ」
「俺はあんたを守りたい。弁護士にそれが出来るか?俺には出来る」
こうしてマイケルがヴィンセントを後見することで、ザザとマイケルは決定的に対立を深めて行くことになり、アトランティックシティーでザザに襲撃されますが間一髪難を逃れます。
執拗に復讐を主張するヴィンセントに対しマイケルは。
「敵を憎むな、判断がにぶる」
と止めようとしますがヴィンセントは独断でザザを射殺して復讐を果たします。ここからファミリーの荒事はヴィンセントが、マイケルはファミリーの合法化に心血を注ぎます。
バチカンで信用出来る人間だと紹介されたランベルト枢機卿は、過去の罪に苦悩するマイケルに懺悔をすすめますがマイケルは。
「私の罪は神の救いを超えています。悔い改めもせず懺悔してもどんな意味が?」
それでもランベルト枢機卿の人柄を信頼したマイケルは懺悔します。
「妻の信頼を裏切ったこと、人を殺し人を殺させました。兄を人に命じ私に背いた兄を殺させた。私は母の息子を・・・父の息子を・・・」
そういって泣き崩れるマイケル。彼の苦悩や罪の意識が伝わって観ていて胸が詰まるシーンです。
そして父の盟友であり若いころから世話になったシシリーのドン・トマシーノが亡くなりマイケルは棺に横たわるトマシーノに語り掛けます。
「あなたは人に愛され、俺は人に恐れられた。何故なのか・・・人を理解しようと努めた。心が俺を裏切ったのか。俺は自分を呪う。子供たちの命に誓います。贖罪の機会を与えてください。二度と罪は犯しません」
時代を変化を受け入れたマイケルはヴィンセントを呼びこう告げます。
「俺は努力した。懸命にこうならぬようにと。だが不可能だこの世界ではな」
「命令を与えて下さい」
「後戻りは出来んぞ。俺と同じ道を?俺は抵抗した。身内を巻き込むまいと」
「俺は違う。力でファミリーを守ります・・・ご命令を」
「俺にはもう出来ない」
決心したマイケルはファミリーの幹部を部屋に呼び入れて宣言します。
「私の甥・・・今日からはヴィンセント・コルレオーネだ」
椅子に座るヴィンセントに近寄り次々と「ドン・コルレオーネ」と手の甲にキスをする幹部たち。かつての自分と同じ光景を黙って見つめるマイケル。鳥肌が立つような名シーンです。
そして物語は哀しい結末へと一気に進んで行きます。
アメリカでも日本でも前二作に比べ評価の低いpartⅢですが、シリーズの流れとして今作品はもっと評価されてもいいと思います。
親から子へ受け継がれた壮大なドラマである「ゴッドファーザー」やはり永遠の名作ですね。
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