観て絶対に損はなし!今も色褪せないモノクロ映画名作10選♪
モノクロ映画を「古い、つまらない」と決め付けていませんか?
視覚効果で度肝を抜かれる映画もたくさんありますが、やはり映画のおもしろさ、その原点は練り上げられたシナリオの良さ。これに尽きると思います。
そこで今観ても面白い、感動する手に汗にぎる!そんな名作を紹介したいと思います。名監督の作品揃いで異論もあるかとは思いますが基本的に、各監督1作品で選んでみました。
「麗しのサブリナ」
1954年、ビリー・ワイルダー監督作品。
オードリーは「ローマの休日」真っ先に挙げるファンが圧倒的に多いですが、この作品や「昼下りの情事」など。オードリー魅力を一番引き出したのはビリー・ワイルダーだと私は思います。
古典的なラブコメディーで、遊び人の弟からサブリナを引き離そうとして、恋に落ちてしまう兄がハンフリー・ボガート!
弟を当時人気絶頂のウィリアム・ホールデンが演じていて、ボガートに恋人を取られる役を「意外だった」と語ったそうです。
オードリーの美しさと共にビリー・ワイルダーの真骨頂とも言える、ラブコメディーの楽しさが味わえる名作です!
「未知への飛行」
1964年、シドニー・ルメット監督作品。
ルメット監督のモノクロ映画には「12人の怒れる男」があり、そちらの方がよく知られているので、あえてこの作品にしました。しかし作品自体のクオリティーはこちらも負けていません!
米ソ冷戦時代、水爆を搭載したアメリカの爆撃機が機械のミスで、爆撃命令を受けモスクワに向かいます。そして「フェイルセーフ」と呼ばれる地点を過ぎたら、口頭での帰還命令は受け付けない。
そこでヘンリー・フォンダ扮する合衆国大統領の下した決断とは?
手に汗握る映画!正にその見本のような作品です。日本公開の予定はなかったそうですが、この作品に惚れ込んだ映画評論家の水野晴郎氏が、
配給会社に働きかけ1982年公開にこぎつけたそうです。イッキ見必至の作品です!
「カサブランカ」
Dooley Wilson 映画「カサブランカ」 As Time Goes By
1942年、マイケル・カーティス監督作品。
1943年度アカデミー作品賞に輝くボギーに代表作ですね。もう全編ハードボイルド!全編ダンディズムの極致!
淀川長治氏はこの作品を男女の洒落た会話の洪水だと言ったそうですが、黒人ピアニスト、サムの奏でる名曲「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」に乗せて珠玉の名セリフが作品を彩っています。
「昨夜どこにいたの?」「そんな昔のことは覚えてないね」「今夜会ってくれる?」「そんな先のことはわからない」
ボギーがイングリッド・バーグマンに次々に質問すると、バーグマンがボギーにキスをして。
「質問を終わらせる答えはひとつね」
その他にも「君の瞳に乾杯」「俺達にはパリの思い出があるじゃないか」「ルイ、これが俺たちの美しい友情の始まりだな」
物語のテーマが重い分、これらのセリフが魅力的に響いて来ます。
「サイコ」
1960年、アルフレッド・ヒッチコック監督作品。
アメリカで公開時、上映途中からの観客の入場を禁止したことや、ネタバレを防ぐためにスタッフに命じて、原作を買い占たというエピソードか有名ですね。
とにかく恐い!その手法は唸るほど!さすがヒッチコックですね。
「鳥」では木に集まって来るカラスで、「断崖」では妻が夫に牛乳を運ぶシーンで、グラスの中に電球を入れて不気味さを演出し、妻に殺されると恐れている男の恐怖感を出したヒッチコック。
この作品でも随所に、そんなシーンが出て来ます。とにかく最後まで目が離せない!ハラハラドキドキ!そんな作品です。
因みにこの予告編は当時、予告編史上に残ると言われていたそうです。
「七人の侍」
1954年、黒澤明監督作品。
ベネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞、「荒野の七人」としてハリウッドでリメイクされ、フランシス・フォード・コッポラが「最も影響を受けた映画」と言い。
ジョージ・ルーカスは「スター・ウォーズ」シリーズはSFの世界で黒澤のサムライ劇を再現したかったと言い。
スティーブン・スピルバーグは新作の撮影前に必ずこの作品を観ると言う、文字通り日本映画の金字塔とも言える作品ですね。
黒澤監督この映画のシナリオ執筆前に「ステーキの上にうなぎを乗せカレーにぶち込んだ腹いっぱいという映画を作りたい」と語っていたそうですが、正にその通りの作品ですね。
アクションや笑い、ロマンスにサスペンスともう何でもありの作品ですが、出だしからグイグイ引き込まれる面白さですね。
映画におけるエンタテインメント性の、究極のカタチと言ってもいいほどの名作!月に一度は観たくなる映画です。
「或る夜の出来事」
1934年、フランク・キャプラ監督作品。
名匠フランク・キャプラによる、ラブコメの原点とも言うべき作品。
いわゆる「ボーイ・ミーツ・ガール」。ひと組の男女が出会い恋に落ち、様々なピンチをくぐり抜けて最後はハッピーエンド!
そんな典型のような映画です、クラーク・ゲーブルの魅力とテンポの良い演出で最後まで飽きさせない。さすがフランク・キャプラですね。
メグ・ライアンやキャメロン・ディアスの一連のラブコメは、すべてどこかにこの映画の影響を受けていると言ってもいいと思います。
1935年アカデミー作品、監督、主演男優、主演女優、脚色賞の5部門を受賞したラブコメの古典です。
「第三の男」
1949年、キャロル・リード監督作品。
チロル地方の民族楽器チターのから、現在でもCMに使用されているあの有名なテーマが流れるファーストシーンから。
並木道を女性が歩いてくるラストシーンまで、どこを切り取っても美しいシーンばかりで、モノクロ映画を映像美にまで高めた作品です。
オーソン・ウェルズ演じるハリー・ライム。アメリカの批評家が「キング・コングとゴジラとハリー・ライムは魅力的な悪役という共通点がある」と評しましたが。
「イタリアではボルジア家圧政の下にミケランジェロやダビンチ、ルネッサンスを生んだ。スイスは500年の平和で何をもたらしたか?鳩時計だとさ」この名セリフと共に記憶に残るキャラクターですね。
「駅馬車」
1939年、ジョン・フォード監督作品。
西部劇史上というより映画史上に残る傑作ですね!
黒澤明監督はジョン・フォードに憧れていて、彼の話しになると何時間でも熱く語っていたそうです。
飛行機や列車など、ひとつの乗り物に乗り合わせた人々の人間模様にアクションを絡めた、今なら「ノンストップアクションムービー」とでも呼ぶべき作品で。
娼婦や賭博師、脱獄犯にアル中の医師など、人物造形が秀逸で、今観ても退屈しない優れた作品です。
「地上より永遠に(ここよりとわに)」
1953年、フレッド・ジンネマン監督作品。
アカデミー作品、監督賞はじめ8部門を獲得した作品。
「ゴッド・ファーザー」をご覧になった方はかつての人気歌手であるジョニー・フォンテーンが、マーロン・ブランド扮するドン・コルレオーネに、自身の復活を賭けての映画出演を、プロデューサーに依頼して欲しいと懇願する場面があります。
馬の首を切り落とし依頼を断ったプロデューサーを脅すシーンですね。
あのモデルになったのがこの作品です。ジョニー・フォンテーンはフランク・シナトラ。そしてドン・コルレオーネはヴィト・ジュノベーゼ。
シナトラはこの作品で見事アカデミー助演男優賞を獲得し、復活を果たしました。
1941年ハワイの軍隊の厄介者ばかりが集まった米軍基地を舞台に。軍隊の理不尽なイジメやシゴキを描いた作品で、クライマックスは日本軍による真珠湾攻撃。
土壇場でどのような人はどのような行動に出るのか。重いテーマですが感動的な作品です。
「麻雀放浪記」
1984年、和田誠監督作品。
今までの映画はカラーのない時代の作品でしたが、この映画はあえてモノクロにこだわって制作された作品です。
原作は言わずと知れた阿佐田哲也の同名小説で、優れた小説がそうであるように「麻雀放浪記」も主役の坊や哲はじめ、ドサ健や出目徳、上州虎など。登場人物の造形が優れています。
スクリーン・プロセスやミニチュアを使った撮影など、映画ファンとして知られる監督の遊び心も興味深く観られ、麻雀を知らない方でも楽しめる作品に仕上がっています。