「神様が作ったゲーム」と言われている野球。
春、夏の甲子園での高校野球は今なお人々の記憶に残る、数々の名勝負が語り継がれ、プロの世界でも幾多の名選手が歴史に名を刻んでいますね。
これはアメリカでも同じで、「全米が一番熱狂するのはスーパーボウルだが、人々の記憶にいつまでも残るのはワールドシリーズだ」と言われています。
そのせいか昔から現在に至るまで、多くの名作と言われる野球映画が作られて来ました。
日本がどちらかと言えば「スポ根もの」の作品が多い中、アメリカでは感動作からコメディーまで、幅広い作品が作られています。
今回もまた極私的マニアックなオススメ作品を紹介したいと思います。
「春の珍事」♪
1949年、レイ・ミランド主演の野球コメディー映画の傑作!
大学の化学講師のヴァーノンは南京虫退治の特効薬を研究中、窓から飛び込んで来た野球のボールに、研究器具を壊されてしまいます。
しかし開発中の液体が木材に反発する性質に気付いたヴァーノンは、この液体を野球のボールに塗ると、バットを避けてくれることを思いつき「三振請負人」としてメジャーリーグの一員になります。
そしてチームはヴァーノンの活躍によって、ワールドシリーズに進出しますが、そこでその液体がなくなってしまいます。
果たしてヴァーノンはこのピンチをどうやって切り抜けるのか!
因みに「巨人の星」で星飛雄馬が投げる大リーグボール3号は、この映画でヴァーノンが投げるボールにヒントを得たそうです。
野球映画としてもコメディーとしても、古典と呼ばれる作品ですがその後のディズニー映画にも影響を与えた傑作です!
「私を野球に連れてって」♪
ジーン・ケリーとフランク・シナトラ共演。1949年制作のMGMミュージカルの佳作。
MGMでのふたりの共演作には「踊る大紐育」や「錨を上げて」などがありますが。
この作品は日本で劇場公開されず、私は「ザッツ・エンタテインメント」のいち場面で知りすぐにコレクションに追加しました。
この映画はミュージカル作品としても有名ですが、何と言っても現在もメジャーリーグの全球場で、7回表終了時この作品の主題歌である。
「Take Me Out to the Boll Game」観客全員が立ち上がって歌うことで世界的に有名です。野球ファンなら誰でも知っている曲なんでしょうね。
セーフコフィールド 私を野球に連れてって - YouTube
エディーとデニスはメジャーリーグ「ウルフルズ」の選手ですが、シーズンオフには舞台芸人をしているという設定。
そこにチームの新しい女性オーナーや熱狂的な女性ファンが絡み・・・いつのながらMGMミュージカルお得意の「ボーイ・ミーツ・ガール」。
監督のバスビー・バークレーは元々振付師だっただけに、ユニークなダンスが観られるふたりの代表作のひとつです。
「打撃王」♪
1942年サム・ウッド監督、ゲーリー・クーパー主演で制作されアカデミー賞11部門にノミネートされ。アメリカ映画スポーツ部門第三位に入った野球映画不朽の名作!
2130試合連続出場で「アイアンホース」と言われ、ヤンキースの誇りとしてアメリカ中から愛された国民的英雄である歴史的名選手、ルー・ゲーリックの伝記映画です。
この映画の・・・と言うよりもゲーリックの人生のハイライトはなんと言っても1939年、ヤンキースタジアムでのお別れのスピーチです。
「今日、私は自分をこの世でもっとも幸せな男だと思っています」
この言葉はアメリカ映画名セリフベスト100にもランクインし、後に様々な映画でも使わるほど有名な言葉になりました。
日本で言えば長嶋茂雄氏の引退試合での名セリフ、「我が巨人軍は永久に不滅です!」のようなものですね。
タイガースファンとしては複雑ですが(笑)
この映画のプロデューサーであるサミュエル・ゴールドウィンは、野球映画の制作に乗り気ではなかったそうですが、ゲーリックのお別れのスピーチに感動し伝記映画の制作を決定したそうです。
またベーブ・ルースはじめヤンキースの選手が本人役で出演しているのも当時話題になりました。
しかし残念なことにこの映画が公開される一年前、ゲーリックは37歳の若さでこの世を去りました・・・。
「2番目のキス」♪
これまでもヒネリを加えた作品を紹介して来ましたが、この作品はさらにもうひとヒネリ加え、選手ではなく熱狂的なファンが主人公です。
アメリカ映画お得意のロマンチックコメディーですが、男性が観たら「うんうん分かる!」と頷くこと間違いなしのオススメ映画です。
コンサルタントのリンジーは高校教師のベンと出会い幸せな日を送っていましたが、ある日を境にベンが豹変!リンジーの事など忘れたかのように見向きもしなくなります。
「陽だまりのグランド」♪
ギャンブル依存で借金まみれで、追い込まれれた男コナーが友人に助けを求めたところ、彼の会社が出資している少年野球チームのコーチを引き受けることを交換条件に出されます。
仕方なく引き受けるコナーですが、待っていたのはシカゴの貧しいスラム街で暮らす少年たち。
当然やる気もなく頑なな態度のコナーですが、やがて少年たちのひたむきな態度に心を解きほぐし・・・。
ひとりの男が少年野球のコーチをすることによって、何かに目覚め再生して行く、名作「がんばれベアーズ」を思い出しますね。
よくあるパターンのお話しです。ベタでクサイ展開です・・・でも泣けます!
人生の敗者復活戦に賭ける男、劣悪な環境にも負けず純粋に野球に取り組む少年たち。
男の琴線に触れる要素が詰まってますね!
観終わった後、心が満たされ「野球はやっぱりいいな」そんな風に思える作品です!
野球映画なのに「メジャーリーグ」も「フィールド・オブ・ドリームス」も出て来ない!そう思っている方もおられるでしょうが。
今回はあえて変化球で勝負してみましたが、どの作品もかつて野球小僧であったオヤジ世代なら胸がキュンとする、若い世代でも充分楽しめるオススメの作品だと思います!