わずか7日間で幕を閉じた昭和64年。その昭和最後に起こった少女誘拐殺人事件通称「ロクヨン」。
映画は事件から14年の歳月が流れ、時効まであと1年となった平成14年が舞台。
「ロクヨン」の捜査を刑事として担当したいた三上は現在広報官へ移動となり記者クラブとの対応にあたっている。
そんなとき警察庁長官の慰問のため「ロクヨン」事件被害者の父親との交渉を命じられた三上は父親の態度に疑問を持ち、独自に事件を調査を開始する。
そしてそこに浮かび上がる数々の謎、それには警察の隠蔽工作も・・・。
横山秀夫の最高傑作と言われるミステリー小説を映画化した本作、まずその豪華なキャストには驚きました。主役クラスの俳優がもうぞろぞろ出て来ます。
制作費に対してギャラの割り合いはどれくらいになるのかなど、いらぬ心配をしてしまうほどで・・・。
さて作品の方はと言うと原作未読でなんの予備知識もなく観たのですが、重厚に丁寧に作られていてじっくりと観ることが出来ました。
そこで思ったことは原作は上下2冊の大長編小説で、映画の出だしはテンポも良くすぐにストーリーに入りこめましたが、原作を忠実に描こうとするあまりでしょうか。
途中シナリオがもたついているような印象を受けました。ベストセラー小説は数々映画化されていますね。ただ私は映画と小説は別のものであると認識しているので、原作と少し違うところがあってもそれが映画として面白ければいいと思っています。
その点から言えばこれはあえて前後編に分ける必要があったのか正直そこは疑問に感じました。
前編は「ロクヨン」事件を軸に県警と記者クラブとの対立や、刑事部と警務部との警察内部での権力闘争。ミステリーの要素よりもそれぞれの立場の人々の苦悩や葛藤を描く人間ドラマになっています。
途中でもたついた展開も後半に入ると、謎が絡みあいぐいぐいとストーリーに引きこまれて行きます。
そして最高潮に達したところでエンドロール・・・そんなぁ・・・という感じは拭えないでもありませんが、おそらく前編を観た方は必ず後編も観たくなるような上手な作りの作品に仕上がっています。
ベテランも若手も上手い役者さんばかりで、その火花散るような演技は充分観る価値ありだと思います。
後編は絶対に見逃せないな。