スーツや小物類には気を配っていても、案外傘は実用一辺倒で選んでいる方も多いですね。でも傘は雨を避けるためだけの道具ではありませんよ。
特にイギリスでは紳士を象徴するアイテムとして認識されています。いくら上質なスーツを着ていても、さしているのがビニール傘ではいただけませんよね。
今年もまた梅雨の時期が近づいて来ました。雨が多くジメジメした気候が続くと気分まで湿りがちになりますが、そんな時期でもミドルエイジにふさわしいお気に入りの傘で少しでも気分を明るくしてみたいですね。
そこで今回は梅雨を楽しむべく傘とレインシューズのおすすめブランドをご紹介します。
でもその前に!いつものように傘の歴史をかいつまんでご説明しますね。
そもそも傘は雨よけの道具ではなかった!
傘が使われ出したのは約4000年前(古っ!)当時の高貴な人々(主に女性)が外出の際に日傘として使ったのが始まりだと言われています。要するに権威の象徴として使用されていたんですね。
13世紀に入るとようやく一般的に傘が使われるようになりましたが、あくまでも日傘としてまたは女性のアクセサリーとしての側面が強かったようです。
傘が雨よけの道具として使われ出したのはなんと18世紀に入ってから、それまで女性だけのものだった傘を、初めて雨傘として使用したのはイギリスの旅行家ジョナス・ハンウェー。
それまで男性は雨が降ると帽子とマントを着用し馬車で移動していました。しかしハンウェーは、雨の日に防水加工した傘をさして街を歩いていたそうです。
そんな姿を見た街の人々は「女々しい奴」だと彼を変人扱いし、決して馬車に乗らない彼に馬車を操る馭者は泥水をかけて嫌がらせをしたそうです。
それでも彼は雨傘をさすことを決してやめようとせず、イギリスの男性社会にも雨傘が広がって行きました。う〜んダンディズムですね!
イギリスから輸入されていた洋傘を日本で作られるようになったのは明治10年。この頃は材料を輸入していたので洋傘は一部の人たちしか持てない高級品でした。
しかし明治22年国内の材料で生産されるようになり、価格が安定し洋傘の需要が広がって行きました。傘も奥が深いですね。
そんなミドルエイジが持ちたい傘のおすすめブランドは?
Swaine Adney Brigg(スウェイン・アドニー・ブリッグ)
傘はスーツや靴のように数多くのブランドがあるわけではないので、どうしもベタなチョイスになるのは仕方のないことでね。しかしそれでもやはり傘と言えば私が真っ先に浮かぶのが「ブリッグ」!
かの白洲次郎が愛用し「傘のロールス・ロイス」「孫の代まで使える傘」」と言われています。
1750年創業時は馬具のメーカーで馬用のムチに関しては、エリザベス女王、エディンバラ公、チャールズ皇太子と3つのロイヤルワラント(王室御用達)を取得し、1983年には傘メーカーとしては初のロイヤルワラントを授けられました。
他のブランドの傘に比べ少し重いのが難点ですが、これはイギリスで男性がステッキを持っていたことの名残りでしょうね。
ハンドルから先端まで一本の生木で削り出された傘は、使うほど木の味わい深い経年変化も楽しめる極上品!
一本4万円〜という高価な傘ですが、上質を知った大人こそ使って欲しい一本ですね。
前原光榮商店
こちらは日本が誇る皇室御用達、創業昭和23年傘の名店「前原光榮商店」!
通常傘の骨は6本から10本ですが前原光榮商店の傘は骨が16本!
3週間かけて作られた生地と熟練された技術の縫製で、個人的には開いても閉じても一番美しいフォルムの傘だと思いますね。
ある日デパートの売り場に80歳くらいのご婦人がやって来て、自分の嫁入りのときにもらった60年前の傘の修理を頼むと、快く引き受けデパートからさらなる信頼を得たというエピソードが示すように、修理しても半永久的に使える傘を作りたい。
そんな日本が誇るべきブランド。是非一度使ってその良さを実感したい傘の逸品です。
FOX UMBRELLAS(フォックス・アンブレラ)
「ブリッグ」を出したらこちらも出さない訳にはいかない。イギリスでは「グリッグ」と双璧のブランドが「フォックス・アンブレラ」!
1868年小型パラシュートの制作を始め、素材の高い耐久性を傘に生かし世界初の化学繊維の傘を開発。
さらにそれまで鯨骨が主流だった骨にU字断面のスチールフレームを使ったのが「フォックス。アンブレラ」でこのふたつを編み出したことによって雨傘を世界中に普及させました。
伝統と重厚さでは「ブリッグ」、スマートなフォルムでは「フォクス・アンブレラ」と言えますね。
日本橋小宮商店
創業昭和5年。テレビや雑誌にも数多く紹介されたこちらも「前原光榮商店」と双璧をなす日本ブランドが「日本橋小宮商店」!
「品質・信頼・改革」をコンセプトに職人の手仕事を感じる丁寧な作りで評価が高い傘ブランドですね。
超軽量カーボンは持った感じが驚くほど軽く、これまでの傘との違いが実感できます。手に入れやすい価格から高級品まで、商品のラインアップが幅広いのも特徴ですね。
Maglia Francesuco(マリア・フランチェスコ)
傘と言えば必ず名前があがるイタリアの定番ブランドが「マリア・フランチェスコ」。
1854年創業のイタリアが誇る傘の老舗。現在も量産はせず生地の裁断や縫製から組み立てまですべて手作業で作られています。
このあたりはイギリスのブランドに比べても、まったく引けを取らない伝統の重みがありますね。
厚手で上質の生地には定評があり「エルメス」や「ブリオーニ」などの生産も請け負っている歴史あるブランドです。
これも一生モノの一本です!
ミドルエイジになると「傘も装いの一部である!」これを忘れないようにしたいですね。
ビジネス・レインシューズ
傘と並んで梅雨時に必要なものと言えばレインシューズですね。一般的に革靴は水に弱いと思われている方も多いようですが、多少の濡れ具合なら後でしっかりと手入れをすればそれほどダメージはありません。
また防水スプレーは水の浸透を軽減してはくれますが、雨は靴の表面以外からも入って来るのでやはり完璧とは言えませんね。
どちらにせよメンテナンスをしかっりとしないと靴が傷んでしまうので、そこはしっかりと手入れをするように心がけましょう。
とは言えやっぱり面倒な手入れを気にせず履きたいなら、レインシューズは持っておきたいですね。
昔はレインジューズと言えば到底おしゃれとは呼べないようなデザインのものばかりでしたが、最近では普段履きの靴と遜色のないおしゃれなレインシューズを各ブランドが展開するようになりました。
大人世代がチェックすべきおすすめレインシューズは?
SCOTCH GRAIN(スコッチ・グレイン)
東京都墨田区発の日本が誇るシューズブランド!日本人に合った木型を使用し、履き心地にこだわった上質の逸品。
普段履きなら「ユニオン・インペリアルシリーズ」を、そして雨の日には「シャイン・オア・レイン」甲革に国産撥水カーフを使用することで水の浸透や革の傷みを軽減しています。
スコッチ・グレインの靴は同じサイズでも木型が変わると、多少サイズ感も変化するので必ず両足で履いて見てサイズ感を確認して下さい。
ビジネス・マンにおすすめの一足です!
RAINMAN (レインマン)
2013年立ち上げと比較的新しいですが、ここ数年注目を浴びているブランドです。従来の男性用雨靴の概念の払拭をコンセプトに、本物志向の大人の男のレインシューズを展開しています。
木型開発から徹底的に革靴のフォルムを再現し本物に近い履き心地を実現しています。またデザインもカジュアルからビジネス・シーンまで、実に豊富に取り揃えられているのも特徴です。
ブランド名の通り梅雨の季節の強い味方になる一足ですね。
THE SUIT COMPANY (ザ・スーツカンパニー)
青山商事の別ブランド。スーツの縫製の良さはよく知られており、セレクトショップで10万円くらいのスーツと同じクオリティーのものがその半額以下で買える、スーツデビューにはおすすめのブランドがスーツカンパニーです。
そしてレインシューズもまたコストパフォーマンスは抜群です。質感もあり吸汗速乾性に優れたインソールを採用。
若い世代のビジネス・マンの最初の一足におすすめです!
REGAL (リーガル)
50年以上前から日本で愛されて来たビジネスシューズの定番ブランドに、2014年からレインシューズがラインアップに加わりました。
雨を完全にシャトアウトするゴアテックスを採用し、ワイズも3Eと日本人の足に合うデザインです。
手入れも簡単なので外回りのビジネス・マンに特におすすめしたい一足です。
TEXCY LUXE (テクシーリュクス)
アシックスが開発したビジネスシューズ「テクシーリュクス」。その履きごごちの良さから「フルマラソンを完走出来るビジネスシューズ」と言われ長時間履いても疲れないのが特徴です。
本革に防水設計を施してあり、見た目も普段履きの革靴と変わりなく大人世代にもおすすめです。
傘もレインシューズも実用性を重視するあまり、デザインや品質についての気配りを忘れてはいませんか?
傘やレインシューズもやはり大人は上質に触れることは大切なことです。自分だけのお気に入りを見つけてジメジメした季節も楽しく過ごす。
そんな大人の余裕を持って梅雨を過ごしたいですね!