「ダンディーの輝きは昇る朝日のごときではなく、沈む夕日のごときである」
シャルル・ボードレール。
18世紀後半からイギリスで英国紳士のファッションが定着し始めた頃、その枠にとらわれることを嫌い自分なりの美意識を持ち、男のオシャレに価値をもたらした人をダンディーという言葉で表現しました。
その代表的な人物は何と言ってもボー・ブランメル!
ダンディズムの象徴と言われ毎朝2時間掛けて一枚の糊付けした白い布をふんわりとしかし完璧に首に巻いて出掛けるのが日課だったようでこれを当時ネッククロスと呼び、これがネクタイのルーツだと言われています。
そして驚くべきことにブランメルがその日どんな巻き物で街に姿を現したかが、毎日の新聞で報じられていたそうです。
「ダンディー」という言葉を調べてみると。
男性の服装や振る舞いが洗練されていること。
また、そのさま。
おおむねそんな風に考えている方が多いようですね。
ところが現代の欧米では「ダンディー」という言葉はほとんど死語に近いようで、普段の会話でダンディーという言葉が出てくることはまずありません。
逆にナヨナヨしているとか、タフな仕事は出来ないだとかネガティブなイメージで使われたこともあったようですね。
今ではシンプルに「COOL」(クール)とか「METROSEXUAL」(メトロセクシャル)という表現をダンディーという意味で使っています。
メトロセクシャルとは。
外見や生活様式への強い美意識を持ち、そこに多大なる時間と金をつぎ込む男性。
やはりダンディーと同じような意味ですね。 これを日本語で表すとどういった言葉が適切なのか!考えてみると「艶っぽい」(つやっぽい)という言葉が一番合うように思いますね。
年齢を重ねても艶っぽい男はカッコいいですね。では艶っぽい大人の男とはどのような人を指すのか自分なりに考えてみると・・・。
程よく枯れている
この程よくというところが重要なんですね。ギラギラしていなくそれでいて色気を感じさせる。決して老成しているのではなく遊び心を忘れない。
そんな余裕を持っているお大人の男はやはり艶っぽいと言えるでしょうね。
自分のライフスタイルを確立している
これは毎日決まった時間に決まった行動を取るという意味ではなく、何をやるかより何をやらないか、それをしっかり持っているのが大人でしょうね。
例えば飲食店では大声で話さないとか、酔っても酔っ払わないとか要するにパブリックマインドをしっかり持って生活している人は素敵な大人ですね。
確かなこだわりと審美眼を持っているがそれを自慢しない
服装や小物、文学や音楽に映像絵画など見る目を養い、自分を知り自分に合ったものを身につけたり。
趣味においても造詣の深さをことさら人にひけらかすことなく、さらりと答える。
それこそ大人の立ち居振る舞いだと思います。
やせ我慢を知っている
昔江戸っ子の気質を表すとき「意地と人情とやせ我慢」という言葉が使われたそうですが、これは正に大人の男が持つべきものですね。
海外のハードボイルド小説の主人公にはピンチに立ったときほど軽口を叩く男が登場しますが、これなどはやせ我慢の典型だと言えますね。
苦しいとき哀しいときそれを人に悟らせず然としている、なかなか出来ることではありませんが大人の男ならこうありたいですね。
「衰え」は意識しても「老い」は意識しない
若い頃は仕事でも遊びでも1日くらいの徹夜は平気ですね。しかし年齢を重ねて来るとそうは行かないのが現実です。
無理がきかなくなった、ゴルフの飛距離が落ちた、お酒が弱くなったなど。衰えを感じることも多くなって来ます。
しかし衰えを感じてもそれを「老い」のせいにせず気持ちを切り替え、無理せずその範囲で楽しむ余裕を持ちたいですね。
際(きわ)が潔い
引き際、去り際、別れ際など。この際の潔さは大切ですね。際を心得ていないと未練たらしいやしつこいなど人に悪印象を与えてしまいます。
逆に際のスマートな人はそれだけでカッコよく映るのでここは意識したいところです。
孤塁を恐れない
孤塁とはただひとつ根拠地のこと。そして孤塁を守るとは群れないことに繋がります。
群れることを望んだり、無闇に迎合しない生き方を貫いている人にこそ人が自然と集まって来るように思います。
自分の決めたルールを持ちそれを守っている
ジョン・ウェインの「ラスト・シューティスト」という映画に「俺が他人に決してしないことを他人が俺にするのは許さない」というセリフがありましたが、自分がされて嫌なことは他人には決してしない。
しかし自分がされたときは絶対に看過しない!そんな芯の通った心がけ持っている人は男から見ても素敵ですね。
弱者に対する優しさを持っている
以前知り合いの女性の「ホテルやレストランに行ったとき、そこのスタッフさんへの態度でその男性の器が分かる」という言葉に思わず襟を正しましたね。
お年寄りや子供に親切なのは人として当然のことで、客の立場になってスタッフに横柄な態度を取るなどほんとにみっともないことですね。
少し前動画で話題になったクレームを付けて土下座を強要するなど、その人間の品性がよく分かります。
そしてやはり見た目オシャレで若く見える
私はオシャレな人とは「自分を知っている人」だと思っています。特にミドルエイジになると自分に合うもの知り、無理しないこなし感が大きな武器になりますね。
ビジネスシーンでのスーツの着こなしや、オフのデニムスタイルなど。自然にこなし感を出している人はやはりオシャレでカッコいいですね。
ココ・シャネルは恋人であるウエストミンスター公爵の着こなしの素晴らしさを「エレガントでありながら行儀を悪くする。つまりくずすにはまず第一に礼儀正しい基礎がなくてはならない」と語っています。
ある年齢に達すると着崩しはかなり高等なテクニックですが、それにはまず正当で上質なクラシックをきちんと理解し着こなして初めてこなし感が出るということでしょうね。
いくつになっても向上心!そしてカッコいいジジイを目指したいけど・・・自分で書いておいてかなりハードルは高いな(笑)