1929年に優れた映画やその制作関係者を表彰するために創設されたアカデミー賞。
創設当時は作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、美術賞、撮影賞の6部門でしたが、年々増設され現在はなんと24部門!
今年のアカデミー賞は5度目のノミネートで念願のオスカーを獲得した、レオナルド・ディカプリオが話題になりましたね。
ところでこの受賞者に贈られるブロンズ像が、何故オスカーと言われるようになったか 諸説ありますが。
1933年アカデミー事務局のマーガレット・ヘリックが「うちのオスカーおじさんにそっくり!」と言ったのが由来とされています。
ちなみに最多オスカー受賞作品は「ベン・ハー」「タイタニック」「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」の11部門。
最多監督賞受賞は名匠ジョン・フォードの4回、最多主演男優賞、主演女優賞はダニエル・デイ=ルイスの3回、キャサリン・ヘップバーンが4回獲得しています。
そして今回取り上げる歌曲賞が創設されたのが1934年。受賞曲を改めて見てみるともうキラ星のごとく名曲が並んでいますね。
そこで極私的におすすめ名曲を年代順に10曲チョイスしてみました。完全に個人的好みなので今ではスタンダードとなっている曲が多いですが、名曲揃いであることは間違いなしです!
虹の彼方に♪
邦題「虹の彼方に」よりも原題の「オーバー・ザ・レインボー」で充分通じるくらい有名な曲ですね。
1939年ヴィクター・フレミング監督ジュディー・ガーランド主演のミュージカル映画「オズの魔法使い」の劇中で若き日のジュディー・ガーランドが歌った今なお歌い継がれる曲です。
現在まで数多くのシンガーにカバーされ2001年全米レコード協会が選定した「20世紀の名曲」で1位を獲得した映画史の残る名曲ですね。
Somewhere Over the Rainbow - The Wizard of Oz (1/8) Movie CLIP (1939) HD
星に願いを♪
1940年のディズニー映画「ピノキオ」でコオロギのジミー・クリケットが歌った、今も多くのシンガーか歌う世界中に知られた曲。
アメリカン・フィルム・インスティテュートによる「アメリカ映画主題歌ベスト100」でディズニー最高位の7位に入り。
ルイ・アームストロングやビリー・ジョエル始め数えきれないくらいのシンガーにカバーされ、日本でも2003年矢沢永吉さんがサプライズとして世界初のディズニーシーでこの曲を歌ったのことが話題になりました。
オルゴールによく使われているように、今聴いても癒やされる心に残る綺麗なメロディーを持った名曲ですね。
When You Wish Upon A Star 【ピノキオ】
ホワイトクリスマス♪
1942年マーク・サンドリッチ監督、ビング・クロスビー、フレッド・アステア主演の映画「スイング・ホテル」で使われたアービング・バーリンの最高傑作と言われる曲。
今もクリスマスの時期になると世界中の街で、この曲が流れてるクリスマスを象徴する曲と言えますね。
事実シングル・レコードの売上げ枚数ビング・クロスビーが5000千万枚、それ以外のバージョンも含めると1億枚を売上げたと「ギネス・ワールドレコーズ」に記録されています。
ボタンとリボン♪
1948年ノーマン・Z・マクロード監督、ボブ・ホープ、ジェーン・ラッセル主演の傑作コメディー「腰抜け二丁拳銃」の主題歌でダイナ・ショアが歌いました。
この曲も世界中で愛され特に日本では映画を観ていない人も「バッテンボー」の愛称でよく知られています。
原題の「Buttons and Bows」(バトンズ アンド ボウズ。つまりボタンとリボンですね)の発音がバッテンボーに聞こえるところからそう呼ばれました。
この映画は日本でも1950年に「腰抜け二刀流」というタイトルでリメイクされ、なんとこれが森繁久彌さんの初主演作品となりました。
Dinah Shore - Buttons And Bows 1948
ベイビー・イッツ・ア・コールドアウトサイド♪
1949年エドワード・バゼル監督、エスター・ウィリアムズ、レッド・スケルトン主演のミュージカル映画の主題歌。
エスター・ウィリアムズは映画「ザッツ・エンタテイメント」で初めて知りましたが、40年代後半から50年代にかけてMGMミュージカルのスターで、プールで泳ぐシーンは圧巻です。
そしてこの曲は日本で「外は寒いよ」というタイトルでもよく知られています。
「もう帰らなきゃ」「外は寒いよ」
「素敵だったわ」「君の手は氷みたいに冷たいよ」
「お母さんが心配しているわ」「美しいお嬢さん何故そんなに急ぐの?」
というように帰らなきゃと焦らす女性を、男性が引き止める掛け合いの粋な歌詞で映画ではエスター・ウィリアムズとレッド・スケルトンが。
そのほかにもエラ・フィッツジェラルドとルイ・ジョーダン。ヴェルマ・ミドルトンとルイ・アームストロング。ダイナ・ショアとバディ・クラークが。
また「フォー・ザ・ボーイズ」ではベッド・ミドラーとジェームズ・カーンが歌っていたのも記憶に新しいところです。
多くの人に愛されるスタンダードの名曲ですね
Idina Menzel & Michael Bublé - Baby It's Cold Outside
モナ・リザ♪
1950年ミッチェル・ライゼン監督、アラン・ラッド主演「別働隊」の劇中で、ドイツ軍と闘うイタリアのパルチザンの合言葉として口笛で使われた曲。
「モナ・リザ」と言えばナット・キング・コールのヒットが有名ですが、これは映画公開に合わせてレコーディングされたもので、映画でナット・キング・コールの歌声が使われることはありませんでした。
ナット・キング・コールの歌唱にもあるように「モナ・リザ」と言うのは日本だけで歐米では「モナ・リサ」が正しい呼び方なんですね。
この曲も「ベイビー・イッツ・ア・コールドアウトサイド」と同じように映画を超えてスタンダードとして定着した曲です。
ナット・キング・コールの名曲 「モナリザ」 Nat King Cole MONA LISA
慕情♪
1955年ヘンリー・キング監督、ジェニファー・ジョーンズ、ウィリアム・ホールデン主演「慕情」のテーマですが曲を聴けば誰もが知っているほどの名曲ですね。
アカデミー作曲賞を9度も受賞したアルフレッド・ニューマンの最高傑作として、映画音楽のオムニバス作品には必ずと言ってもいいほど入っていますね。
ジョン・トラボルタとオリビア・ニュートン・ジョン主演の「グリース」でもオープニングで使われていました。
音楽だけではなく後に歌詞をつけて、アンディー・ウィリアムスやポール・アンカ、トニー・ベネットなど多くのシンガーに歌われた名曲です。
Matt Monro - Love is a many splendored thing (慕情 / マット・モンロー)
ムーン・リバー♪
1961年ブレイク・エドワーズ監督、オードリー・ヘップバーン主演「ティファニーで朝食を」のテーマで作曲は巨匠ヘンリー・マンシーニ。
原作者のトルーマン・カポーティはこの作品を、マリリン・モンローを主役に据えることを条件に映画化をOKしたそうですが、モンローが断ったため急遽オードリー・ヘップバーンに主役を依頼。
モンローとはまったくイメージが違うオードリーのために脚本は大幅に書き換えられ、そのせいかトルーマン・カポーティはかなり不快に思っていたそうです。
また日本ではティファニーを知る人が少なく、タイトルから高級レストランだと勘違いしていた人も多かったそうですね。
映画ではオードリーが歌いましたが、今ではジャズやポップスを問わず多くのシンガーにカバーされている曲です。
ニューヨークシティ・セレナーデ♪
1981年スティーヴ・ゴードン監督、ダドリー・ムーア、ライザ・ミネリ主演のラブコメ映画「ミスター・アーサー」の主題歌。
当時人気のダドリー・ムーアにアカデミー女優ライザ・ミネリ、そしてイギリスで「サー」の称号を与えられた名優ジョン。ギールグッドという豪華キャスト。
良家の放蕩息子が貧しい女性に恋をするするという、アメリカ映画にはありがちなストーリーですが、こういう役はダドリー・ムーアには当たり役でしたね。
そしてこの曲が劇中で効果的に使われていたのも印象的でした。
バート・バカラック、キャロル・ベイヤー・セイガー、ピーター・アレン共作のこの曲はビルボードで週間チャート1位を、日本でもオリコン洋楽チャートで6週連続1位を獲得しています。
クリストファー・クロスのハイトーンボイスが耳に心地よい曲ですね。
心の愛♪
1984年ジーン・ワイルダー監督、脚本、主演作品「ウーマン・イン・レッド」の主題歌。
真面目な中年男が赤い赤いドレスの美女にひとめ惚れ、あの手この手でアプローチするがことごとく失敗する。やがて何とか成功!デートに漕ぎるけるが・・・といういかにもアメリカらしいラブコメ作品でした。
そして作品もさることながらオリジナルサントラ盤も素晴らしくスティービー・ワンダーとディオンヌ・ワーウィック私の大好きなふたりのシンガーの共演!もう何度も繰り返し聴きましたね。
「心の愛」はこの年のアカデミー、ゴールデングローブ賞をダブル受賞したスティービー・ワンダーの名曲。優しいメロディーがいつ聴いても心地よく響いて来ますね。
Stevie Wonder I Just Called To Say I Love You
黒澤明監督も音楽の使い方には相当神経を使われていたようですが、いい音楽が効果的に使われると作品のグレードがアップするのは間違いないようです。
映画を思い出しながらゆっくりと名曲を聴いてみるのもいいものですね。