現代医学では比較的新しい治療法ですがその効果が注目されているのが「ドッグ・セラピー」
セラピーとは従来用いられてきた投薬や手術を伴わずに、心理療法と主に対話や軽い訓練などで病気やけがなどの症状の改善をはかろうとする治療法です。
中でも自閉症や高齢の認知症患者の精神安定や身体機能の回復に絶大な効果をもたらしているのがセラピー犬と呼ばれる訓練された魔法のような能力を持つ犬たちの存在なんですね。
セラピー犬の役割りは?
そもそもセラピー犬とは病気で精神的なダメージを負った人たちと触れ合い寄り添うことによって、痛手をやわらげ心のケアをするように訓練された犬を言います。
特別な訓練をされていない犬でも飼い主にとってはそばにいて癒してくれるかけがえのない存在ですね。
それがセラピー犬として訓練された犬たちは特に認知症の改善に大きく役立っています。
認知症患者がセラピー犬とのスキンシップによってもっと接したいという心理的効果が患者を前向きにさせる効果があり、事実何年も無表情だった人が笑うようになったり言葉を発したり車椅子から自力で歩行するなどの感動的な効果が立証されています。
たとえ話すことはできなくても寄り添うだけで人に元気を与え人を笑顔にするこれが犬の持つヒーリング能力なんですね!
やはり約3万5千年前から人間と共生してきたつながりがそうさせるんでしょうか?その効果によって今では多くの医療機関や介護施設の正式プログラムとして採用されています。
セラピー犬になるには?
セラピー犬として活躍するには認定試験を受けてセラピー犬資格を取得する必要があります。
受験資格は3つ。
1 生後8ヶ月以上であること
2 狂犬病の予防注射および必要なワクチンを接種していること
3 トイレのトレーニングが済んでいること
この3つの条件を満たすとどの犬種でも受験資格が与えられます。
認定試験の内容はまず飼い主のペースに合わせて横について歩くことができてその上で「待て!」をしっかり守れるかをチェックされ、それに加え車椅子を見ても逃げたり恐れる様子を見せたりしないかも慎重にテストが行われます。
セラピー犬になると知らないいろんな人から撫でられ小型犬であれば、抱っこされる機会が多くありますね。
そのためには知らない人を怖がらないことや多少強い力で触られても常に落ち着いて騒がない忍耐力もセラピー犬にとっては大切な要素になります。
セラピー犬の訓練方法は?
セラピー犬の訓練は「基本的なしつけ」ができているかどうかが最大のポイントになります。
そのために一番大切なことは「仔犬の社会化」!
社会化とは仔犬が周りの環境に順応できるようにすることで他の犬を見ると敵意をむきだしにして吠えたり、飼い主以外の人に撫でられても過剰に反応しないようにしつけをすることです。
これはセラピー犬だけのことではなく一般家庭で飼われている犬にとっても基本中の基本ですが、案外これができていない飼い主さんが多いんですね。犬を飼うということは人と共生するということですからそのための基本は絶対おろそかにしてはいけません!
犬はだいたい生後2ヶ月で「第一の恐怖期」にはいります。これは物音や飼い主以外の人に警戒心を持つ時期ですね。
この「第一の恐怖期」は約1週間で終わるのでその間は外に出さないようにして、生後約3ヶ月から本格的な社会化の訓練にはいります。
生後12週から14週の間にできれば100人くらいの人と触れ合わせることが理想とされていますが、できる限り多くの人と触れ合わせ撫でてもらって人に対する警戒心を解いてやることが大切なんですね。
そして社会化が済むといよいよセラピー犬としての訓練ですが、最初はとにかく飼い主のペースに合わせて横を歩くことを我慢強く徹底的に教え込みます。
これは高齢者や体に障害がありスムーズに歩くことができない人のためでセラピー犬として必須能力だと言えますね。
それをクリアすると訓練はより高度になり車椅子といっしょに歩く訓練も重要です。車椅子と歩くときはあまり距離が近すぎても犬のけがや転倒などの危険性もあるので何度も繰り返し慎重に訓練が重ねられます。
その他ベッドに寝たきりの患者さんへのアプローチやベッドでの過ごしかた、人とのアイコンタクトの取りかたなどがありますが、ここでもやはり大切なことは基本的なしつけであることは間違いありませんね。
セラピー犬に向く犬種は?
訓練しだいでどんな犬種でもセラピー犬になれることは可能ですが温厚で忍耐強い犬種、ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーに頭の良いボーダーコリーなどがセラピー犬に向いているとされています。
また小型犬もセラピー犬として活躍している犬種も多く、チワワやミニチュア・ダックス・フンドだと甘えん坊でフレンドリーな犬種が向いていると言われてますね。
我が家の愛犬も散歩中よく近所の保育園児たちと触れ合ってますよ!←ちょっとした自慢(笑)
まとめ
ある日少女が群れからはぐれた子供の狼に出会いました。狼は少女にじゃれつきそれを可愛いとおもった少女は狼を抱き上げました。
それから狼は恐れる存在ではなく愛すべき動物になりそして狼は犬へと進化しました・・・大昔のできごと。
これは私の大好きなエピソードですが現在では学説にもなっているそうです。
セラピー犬の中には飼い主に捨てられた犬も決して少なくはありません。そんな人間に裏切られた犬たちが保護され訓練を受け多くの病気や障害を持つ人々を癒し元気付ける。
これが犬の持つ素直さであり思いやりであると私は思います。それは太古の昔から共に生きてきた人と犬の持つ絆なのかも知れないですね!