書評「成功している男の服飾戦略」男の運命は見た目で変わるのか?
「人はその制服どおりの人間になる」ナポレオン・ ボナパルト。
イタリアやイギリスでは昔から「「スーツを買いに行く時には女房を連れて行くな」という言葉があります。
何故なら女性は自分の趣味で夫の服装を選ぶからで、スーツを買う時の基準が「自分好みの夫」になってしまうからだと言われています。
プライベートの服装ならそれでもいいのでしょうが、スーツはビジネスシーンで着用するもの。例えばプレゼンの席などで第一に印象付けるのがスーツやネクタイですね。
そこに必要なのは「自分好みの夫」ではなく「仕事が出来る男」というイメージです。つまりいい仕事をするためには、それなりのスーツが必要だと認識することが大切です。
見た目が変わると人生が変わるのか?
以前読んだ弘兼憲史さんの人気漫画「課長 島耕作」に印象深いシーンがありました。島の上司である中沢が社長に抜擢されるにあたって、前社長と会長から服装について注意を受けます。
「そのスーツはいくらした?」と聞かれた中沢が「デパートの既製品で10万円前後・・・」と答えると前社長は「明日にでも銀座の一流店を紹介する。せめて100万円くらいのスーツを着てくれ」と言いながら自分の時計をプレゼントします。
しかし中沢は「お言葉ですが私はそう言う形で社長として風格付けようと思いません」すると会長は「これからは世界が舞台だ。君の高潔な考え方は残念ながら社交界では通用しない。握手をする際に手元も見られる。相手に甘く見られるぞ、甘く見られると言うより困惑させることにもなる」
前社長も「これからは君は君であると同時にハツシバそのものでもあるんだ」要するに二人はただ高価なものを身につけろと言っている訳ではなく、地位に相応しい礼儀やマナーの基本がまず身なりにあると言っているんですね。
稼ぐ男になるために服装には戦略が求められている!
そして本書「成功している男の服飾戦略」ですが、スーツやワイシャツやネクタイの選び方や着こなしにオススメブランドなど、基本的なことが書かれていますがこれは一般的に知られていることも多くおさらいといったところでしょうか?
しかし本書のキモは「自分がいかに在りたいか」を明確にし「自分をブランド化」して「戦略的容姿」を整えて行く。その過程や必要なマインドが何度も繰り返し述べられているところにあると言えます。
要するに自分の望む人生を手に入れるため「見た目をどう整えるか」そこに焦点が当てられているのが本書のユニークなところですね。
装いをアイコン化する
服は着るものではなく装うもの、でもどのように装っていいのか分からない。そんな疑問に対して著者ははっきりと断定します。
「なりたい自分になれる服を身にまとうのである」
例えば制服のある仕事「警察官」や「客室乗務員」を見ると彼らが何者であるか認識しますね。ビジネスシーンにおいてのスーツや小物類は着る人の「強み」や「価値」を伝える視覚情報となる。
その人の内面性や仕事内容を言語化し装いをアイコン化することによって、市場価値が上がり稼ぐ男になると著者は語ります。
稼いでいるビジネスパーソンでだらしない人はいない
著者はこれまでに数多くのビジネスパーソンのスタイリングを引き受け、そのほとんどが結果的にビジネスでの成功につながったそうですが、稼いでいるビジネスパーソンの特徴は「見た目」が自分の仕事に及ぼす影響をよく理解している本書で述べています。
これは実際私も経験したことですが、いつもよりワンランク上のスーツを着ると気持ちの持ちようは確実に変化します。
つまり服装ひとつで自分を律することが出来るということですね。
まとめ
「男の見た目は戦略である」をコンセプトにファッション・プロデューサーとして、数々のブランド構築や戦略の策定やスタイリングの経験をメソッド化した「服装戦略=プレゼンス・マネジメント」をもとに書かれた本書。
いかに自分の見た目を向上させ市場価値を上げるか、その方法が詳しく述べられています。見た目が変わると本当に人生が変わるのか?
半分は変わるが半分は変わらないというのが私の個人的な意見です。見た目によって人に与える印象はガラリと変化します。身なりに気を使うということは、相手に対する礼儀でもありますね。
中身は同じでも汚れたドアと綺麗なドアがあったら、人は綺麗なドアをノックしますよね。身なりに対する気遣いを忘れない人の方が幸運がノックする可能性は間違いなく高いと言えます。
ビジネスシーンでの服装の基本を知りたい、逆に服装に無頓着な方にも一読をおすすめした一冊です。
ただそれだけで地位や収入がいきなり上がる・・・それはまた別の話し。