ベニー・グッドマン
言わずと知れた今は亡きジャズのクラリネット奏者で「キング・オブ・スィング」と称された伝説のプレイヤー。
ハリウッドは実在の人物の伝記映画を作るのがお得意ですが、ベニー・グッドマンもトロンボーン奏者で「グレン・ミラー物語」のグレン・ミラー。
そしてコルネットのレッド・ニコルズの「5つの銅貨」と並んで「ベニー・グッドマン物語」という作品が制作されています。
劇中に流れる音楽は実際ベニー・グッドマンが演奏していて、文句なしに素晴らしいですが作品のクオリティーは前2作と比べるとハッキリ言って低いです(笑)
それでも彼の在命中に伝記映画が制作されるのは、いかに彼がミュージシャンとして愛されたかの証しですね。
第二次大戦で慰問中に乗った飛行機が、イギリス海峡で消息を絶ち悲劇的な最後を遂げたグレン・ミラー。
売れっ子のミュージシャンが難病の娘のために一度はコルネットを捨て、落ちぶれ果てそこから見事に再生したレッド・ニコルズ。
いかにも映画的なドラマチックな背景をを持ったふたりに対して、ベニー・グッドマンの人生はさして波瀾万丈でもないんですね。
やはりベニー・グッドマン在命中に制作された作品なので、無難な描き方にせざるを得なかったのでしょうか。
にもかかわらず私がこの映画をこよなく愛し、何度も繰り返し観たのはビッグバンドが奏でるスィングジャズの素晴らしさ!
そして感動のラストシーン・・・。
1938年ジャズプレイヤーとして史上初、ニューヨークのカーネギー・ホールで開かれた歴史的コンサート。
ステージで演奏するベニー・グッドマンを客席から見守る母親と恋人のアリス。そしてコンサートのエンディングを飾るのはアリスへの想いを込めた永遠の名曲「メモリーズ・オブ・ユー」
万感の思いを胸にステージをじっと見つめるアリスに彼の母親が話しかけます。
「彼はきっとあなたにプロポーズするわよ」そしてアリスはステージをじっと見つめながら。
「今してくれています」