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恋愛小説ならこれを読め!珠玉のオススメ3作品♪

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あらゆる小説のジャンルで「恋愛小説」は定義付けが難しいジャンルですね。

 

アクションでも本格推理でも、恋愛の要素を含んだ小説は数多く存在します。

 

ここで紹介する小説も果たして「恋愛小説」のジャンルに入るのか疑問を感じる方もおられるでしょうが。

 

あくまでも私の独断と偏見でチョイスしてみました。

 

ただ作品としてはどれも自信を持ってオススメ出来るものばかりです。

 

      

「無銭優雅」山田詠美

男45歳・・・予備校講師。

女42歳・・・花屋の共同経営者。

 

この二人が出逢って恋に落ちどんなドラマチックことが起こるのか?・・・何も起こらない。

 

そう取り立てて劇的なことは何も起こりません。

 

洒落たレストランやBARもロマンチックな音楽も、官能的な描写も何も出て来ません。ただ言葉を紡ぎ合うだけ。

 

男が女に言います。「心中する前の気持で、これから付き合っていかないか?」男の気持が絶妙なニュアンスで伝わるセリフですね。

 

女は無粋な性格だと自認しています。「お前と呼ばれるのが心地よい。ただしそこいらの男どもにお前なんて呼ばれたら、ぶちのめしたくなる。敬語を使えない小僧に出会うと胸ぐらを掴んで揺さぶりたくなる性格」と自己分析します。

 

しかし。

「それは自分の男に対する贔屓である。その代わり自分もとことん贔屓して欲しい。お前と呼ぶならすぐさま飛び込める胸を、広げてもっていなくてはならない」

 

そして男と逢えない寂しさを。

「ひとりで過ごす至福は二人で向き合う恍惚の手下」と自分を納得させます。

 

二人のデートはもっぱら男の家で、男の手料理を食べながら様々な会話をかわします。それは会話というより言葉の紡ぎ合いと言えます。

 

たとえどんな話題でも、言葉を紡ぎ合うのは官能的な行為と言えますね。

 

官能を感じることの出来る関係。相手を心からいたわり信頼するそんな気持を紡ぎ合う・・・それが大人の恋なのかも。

 

そんな風に思わせる描写が全編に溢れています。

 

「彼は私に愛情を使わせる。湯水のように無駄遣いをさせる。けれで私はいつだって潤ったままだ。何故なら彼自身も私に愛情をそそぎ込むのはやめないからだ」

 

大人の恋愛を描いた珠玉の小説!オススメです!

 

無銭優雅

無銭優雅

 

 

 「酔いがさめたら うちに帰ろう」鴨志田穣

 

2007年、42歳の若さでお亡くなりになった鴨志田さんの名著!

 

アルコール依存症という重いテーマでありながら、その語り口が軽妙でテンポも良いので、読み進めてしまいますがその内容は壮絶です。

 

とにかくその飲み方が半端ではありません!

 

カップ酒を一杯二杯と呷り手の震えを止めるのが、毎朝最初にする行動というのですから、その後は推して知るべしですね!

 

毎日フラフラと出掛けては飲み続けます。

 

そして酔うと家族が恋しくてたまらなくなり、デパートの屋上にあるカフェでぼんやりとガラスの向こうを見つめます。

 

そこは子供が遊ぶ広場になっていて、子供連れの母親が親子で一緒に遊ぶ姿を見て「どうしてこんな結末になってしまったんだろう」と離婚して別れて暮らす家族との思い出に浸るシーンは、胸が詰まります。

 

何度も吐血し入退院を繰り返し、その度に医師から「次、酒を飲んだら本当に死にますよ」。

 

しかし「死ぬ」と言われても「飲む」・・・。

 

そして遂にアルコール依存症患者の閉鎖病棟に入院。

 

真面目に入院生活を送り外出を許可された鴨志田さんの元に、元奥さんの西原理恵子さんと子供たちが見舞いにやって来ます。

 

そこで鴨志田さんは「出来れば君たちの元に帰りたい、元のように家族で一緒に過ごしたいんだ」と打ち明けます。

 

そして新たな病魔に冒され・・・。

 

鴨志田さんは家族を愛していたんだと思います。

 

ただその表現の仕方や接し方が苦手だったんでしょうね。壮絶な人生ですがその気持ちが随所に見られ、読む側の心を揺さぶられます。

 

最後の一節。

目が覚めたら見慣れたベッドの上だった。「お帰りなさい。先生から聞いたわ。あなたこれから一緒に生きて行きましょうね」

 

ハスの花が咲いたような妻の顔があった。

 

これは紛れもなく恋愛小説だと思います。

 

酔いがさめたら、うちに帰ろう。 (講談社文庫)

酔いがさめたら、うちに帰ろう。 (講談社文庫)

 

 

「熱愛者」常盤新平

 

北方謙三氏や志水辰夫氏、藤田宜永氏が一時「情愛小説」と呼ばれる作品を発表したことがありましたが、そのきっかけになったのは、おそらくこの作品ではなかったかと思われます。

 

全編性愛描写の小説ですが、下品にならず真摯に性愛を描いているところがこの作品の特徴と言えるでしょうか?

 

そういう点が女性読者にも多く読まれたところだと思われます。

 

主人公の翻訳家悠治は妻に去られて一人暮らし、その彼が前後してふたりの女性と知り合います。

 

「女神」のような典子、そして「妖精」のような悦子。

 

悠治はこのふたりと旅先で、アパートで体が軋むほど愛し合います。

 

性の瞬間だけが生きて行く上での確かなものように、なんども飽きることなく体を重ねます。

 

三人の不思議な関係はつかの間の幸せを、悠治にもたらしますが・・・。

 

愛することで人は本当に孤独から逃れられるのか?

 

性の根源を描き切ったと評価の高い作品。

 

恋愛小説としても情愛小説としても白眉の作品です。

 

熱愛者 (ノン・ポシェット)

熱愛者 (ノン・ポシェット)

 

例によってヒネリを加えたチョイスになりましたが(笑)

恋愛小説の解釈は読者の数だけあると思われます。

 

この3作品は私にとってどれも、最高の恋愛小説だと言えます!

 

 

 

rintaro95.hateblo.jp

 

 

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