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自分流儀のダンディズム♪

ファッション、映画、小説、音楽好きなことを好きなように語ります。

冒険小説ならこれを読め!読まずに死ねない5作品♪ 日本編

本・小説
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rintaro95.hateblo.jp

 書評家北上次郎氏が「冒険小説の時代」を出版したのが1990年。

 

それまでスパイ物、警察もの、犯罪ものなど別々にカテゴライズされていた作品を「冒険小説」として体系化しエンタテインメント小説の新たなブームを起こした時期でもありました。

 

そしてその後コメディアンの内藤陳さんが「日本冒険小説協会」を設立、今や大御所となった数々の作家がデビューしたのもこの頃でした。

 

それまでは生島治郎や大藪春彦が突出していた時代に、様々な作家がエネルギッシュに作品を発表し冒険小説が、新たなジャンルとして認知された時代でもありました。

 

その頃に出版され今読んでも抜群に面白く、冒険小説の入門編とも言うべき作品を。未読の方は絶対にオススメですよ!

 

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北方謙三「ブラディ・ドール」シリーズ! 

 

 「冬は海からやって来る。毎年それを静かに見ていたかった・・・」

 

N市の酒場「ブラディ・ドール」を舞台に繰り広げられる、北方ハードボイルドの最高峰!

 

第一作の「さらば荒野」に続いて。

「碑銘」

「肉迫」

「秋霜」

「黒銹」

「黙約」

「残照」

「鳥影」

「聖域」

「ふたたびの荒野」の全10作品。

 

一作目と最後の作品は「ブラディ・ドール」のオーナー川中良一が主人公。そして二作目以降は妻を殺された男や、殺し屋にピアニスト、画家や腕のいい外科医や高校教師などが「ブラディードール」に引き寄せられるように集まって、物語を紡いで行きます。

 

全作品魅力的なキャラクターと名セリフの洪水!

 

元ヤクザのバーテン藤木に拳銃を貸してくれと頼む川中。「こっちの方が、君の手になじんでいるんじゃないのか?」

「だからお貸しするんです。手になじんだ拳銃というやつは時々持ち主の意志を早く読み過ぎたりしますから」(さらば荒野)

 

そしてシリーズ最高にして永遠の名セリフ!

 

初老の著名な画家が事件に巻き込まれ身を隠す恋人にひとり断崖をよじ登って会いに行き、そして告げるひと言。

 

「私がいる。お前には私がいる。それだけを伝えておきたかった」(秋霜)

 

独特の文体、音が聞こえてくるようなリアルな格闘シーン、そして男を酔わせる名セリフ。紛れもない傑作です。

 

落合信彦「ただ栄光のためでなく」

ただ栄光のためでなく

ただ栄光のためでなく

 

 

 世界中のオイルマンから「ザ・ギャンブラー」と恐れられた男。佐伯剛の激動の半生を描いた名作。

 

著者初の長編小説にして最高傑作!今や一部でカルト的扱いを受けている著者ですが、この作品は巧みなストーリーテリングでぐいぐい引きこまれて行きます!

 

そして主人公ゴウ・サエキは始めメジャーと闘う石油会社の社長デヴィット・フェンシュタイン、ジャイアントを嗅ぎ分ける能力を持つハンス・ザ・スメラー、ゴウの同級生でモサド局員のサイモン・シラーなど。

 

脇役の人物造形が際立って物語をより面白くしています。

 

主人公ゴウについてエクアドルの政府高官はこう言います。

「ギャンブラーと呼ばれる人はいますが、ザ・がつくのはセニョールサエキだけです」

 

著者自身も佐伯剛というキャラクターがお気に入りなのか、その後の作品にもたびたび登場しますが、正にイッキ読みの面白さです。

 

佐々木譲「総督と呼ばれた男」 

 

第二次大戦当時シンガポールの暗黒街で「裏総督」と呼ばれた日本人木戸辰也。

 

物語の幕開けは1920年代、シンガポールの日本人街で身寄りをなくし施設で育てられている辰也が、叔父に引き取られるところから始まります。その後労働争議で叔父を殺された辰也は相手に復讐し矯正院へ。

 

そして矯正院を出た辰也は徐々にシンガポールの暗黒街で、のし上がりやがて「裏総督」と言われるギャングスターにに登りつめます。

 

少年の成長譚でもあり、犯罪小説やギャング小説としても一級品ですね。

 

マレー半島で盗賊として名の知られた谷豊(ハリマオ)や、寺内寿一陸軍大将など実在の人物も登場し、スケールの大きな大河小説と言ってもいいと思います。

 

志水辰夫「背いて故郷」

 「おかあさん、、あなたの残された時間が限りなくやすらかなものであるよう祈らせて下さい。あなたに贈る言葉がありません。やはりわたしは生まれてくるべきではありませんでした」

 

ファンにはたまらないシミタツ節全開の作品です。

 

スパイ船の船長であった柏木は、船長を友人成瀬に譲って日本を出る。ところがその柏木が殺され真相をつきとめようとする柏木だが。

 

追いつめて行く柏木が追われる側にになり・・・。ハラハラ・ドキドキのストーリーもさることながら、優れた風景描写が作品にリアリティーを与えているんですね。

 

心にあるセンチメンタリズムをギリギリまで抑制した文体。スピーディーな展開で読者を引き込み・・・そして泣かされます。

 

馳星周「不夜城」

 

エンタテインメントの世界に「暗黒小説」というジャンルを確立した記念碑的傑作。

 

金城武主演で映画化され、中国マフィアの世界を本格的に描いた初の作品でもありますね。

 

馳星周がデビューする前は、花村萬月が このジャンルの作品を発表していますが、馳星周の方がよりエンタテインメント性が読者の支持を受けました。

 

読み始めるとストーリーも出てくる登場人物もまったく救いがありません(笑)もうこれでもかというほど、次々と深みにはまって行きます。

 

ここまでカタルシスを感じない小説も珍しく、それが返ってこの作品の魅力になっています。とにかくそのパワーに圧倒される、そんな小説です。

 

どの作品も時間のあるときに、タップリとその世界を堪能して欲しい傑作揃いです。